カバチたれとらんで見てきんさい
さてはて今日は、相方と娘たちを義実家にあずかってもらって出勤ですよ。休みの日に職場いくのたいぎよ。もろもろを終わらして帰宅するのですが、時間ぎりぎりだけど間に合うなと見たかった映画をみてきました。ちなみに、お泊りなので明日の夕方まで私はフリーです。肩ばきばきに凝ってるし、疲れてるし帰って、日曜にしようとも思ったのですが、掃除しないとなー、洗濯、夕飯の準備もあるし・・・。
うん、今日にしよう!
『この世界の片隅に』をみてきました。
事前知識としてはブックーマークの記事を数件といった感じです。原作のコミックは未見です。ドラマ化もされてるみたいですが、それも見てないです。
- 作者: こうの史代
- 出版社/メーカー: 双葉社
- 発売日: 2012/09/07
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こうの史代さんの作品は上記を学生の頃に読んだだけです。だぶん実家にまだおいてあるはず。
作品についてあれやこれやと書こうと思ったんですよ。それこそ中央線住みのサブカルくそ野郎のノリであーだーこーだー批評しようと思ったんだけど、できなかった。わざわざ、帰りにおでん屋によって日本酒まで飲んで調子乗ろうと思ったのに(以下の文章は酔っ払いのざざれごとです)。
色々と批評しようと身構えてみたので、たいして泣かなかった。おいー。残念な見方だなって思うでしょ。大丈夫、ちゃんと最後でウルっとしたから。ただ、たぶんほかの人がこのフィクション、劇中の表現を借りるなら白昼夢にリアリティーを感じて感情を揺さぶられやすいのに対して、作中の舞台と時間的、空間的にも地続きにある私ではどうしても見方が違うんじゃないのかなと思う。
どんな感じ方かというと、例えば主人公の実家が「エバ」と言われて、あーあの辺ねーとなり、「ヒロシマ」から「クレ」に嫁ぐとか言われて、えーーーーーーーーーーとなる感じです。いやほんとに。いや、いや、呉とか遠いし。ありえんし。なんというか確かに”当時ありえた”主人公たちの物語ではある。なんだけど、アクセントが物語にいってしまう。それも悪くはないのだけど、中に入りこむとはあまりならない。場所的に入りこめない以上に作品の時間軸にどうしてもリアルの時間軸が入るのを邪魔をしてしまう。なんだかんだで、被爆三世なので。
ただ、そんな私が感情移入したのが、最後の最後の場面で主人公たちが新しい家族を迎え入れて岐路につきながら街の明かりを見ているシーンにはうるっつとした。ある意味、あのシーンから向こう側、つまり作品が終わった先が私たち観衆がつながっている、文字通り岐路につく先にある生活なんだろうな。
なので私はいわゆる歴史物語の見方ができなかった。なので、作品を組み立てるための膨大なリアリティの積み上げも響かなかった。うん、だからって悪いわけではない。わたしが学生の頃なら気にしなかったリアリティがちゃんと作品にわたしをつなぎ留めたからちゃんとみれたよ。それはもちろんそれは夫婦で生きていくことだし、飯を作ること食べること。なんだか、批評の一部に高射砲の砲弾の色がどうだの当時の食事シーンがどーだのディテールの部分が取り上げられているけど、そうじゃないよ。それはあくまで小道具で、その小道具がリアルなのは主人公たちの生活がリアルであるための道具にすぎんでしょ。ある意味、リアルを物量で押し切って描くことで作り手の伝えたいことを主人公たち役者に違和感なく演じさせ切ったのがこの作品のすごいとこなんじゃないのかと思った。
この作品に描かれているのは少し前のNHKの連ドラ「とと姉ちゃん」のモデルになった『暮らしの手帖』の根っこにある生活者としての市民なんじゃないかな。今日も明日も明後日もご飯を食べて、掃除をして、洗濯をして、裁縫をして、夫婦があり、家族があり、ご近所があり、そしてそれらが笑顔であることが万事望みの唯一であるみたいな。その意味ではこの作品はまっとうなそしてかなり強い戦後の称賛であって、反戦映画とみることも可能だと思う。よく編み込まれた小道具としての当時の文物のリアリティーとこの世とあの世が一緒くたになるお盆みたいな空間をうまく合わすことで物語の強さを増してるけど、描いてるのは生活者目線での人間賛美、ヒューマニズムそのまま。なので、斜に構えた私みたいな反ヒューマニストというか、必ずしもそうとうも言えないんじゃないのかみたいな思想空間に触れた人間からするとあまりにも楽天的で無批判に見えて釈然としないというより、むしろ癪に障る作品になってるのかもしれない。
ととまぁ、ぼろっかすに書こうと作品の終盤まで思っていたのですよ。物語の仕掛けや小道具もよくも悪くもわかりやすく、やれやれどこが泣き所なんだよなんて、余裕をかましていたら最後にやられました。うん、だめじゃん、結局泣いてるじゃん。
というわけで~~~。ここから酔っ払いの単なる感想だから、日本酒一合で沈むとは情けない。もう私も30なんだよん。年はとりたくないよ、このまえ相方に白髪を見つけられて本気で黒染めを考えてるぐらいですから、はぁ。
以下本筋じゃないけどネタバレを含む。
主人公はようわからんままに結婚を申し込まれて、よくわからんままに結婚して以前の生活から離れてしまいます。で!旦那さんのほうがそれをちょいちょい気にしてて、無理に結婚させてさせてしまってとかみたいにぐずぐずする場面があるのですよ。なんか、うちの相方みたいで。この作品、ある夫婦の物語としても見れるなと思いました。
確かに私は結婚したことで前の生活を捨てたよ。文字通り捨てたよ。でも、それでよいと思ってる。正直最初は相方のこと好きなんだか好きじゃないんだかよくわからんところもあった。いや、でも最初から好きだったよ。でもなんか日々の生活でその好きは変わっていってるというかなんというか。ただ、思うのは自分と結婚しなかったほうがよかったかもなんて思ってなんてほしくない。
この作品でもよく描かれていたけど、夫婦の関係って深めていくもんだなと思います。時間が取れるなら相方と一緒にもう一度みてきたいな。
うん、なんか支離滅裂だね。日付変わってるし。もう寝ます。おやすみなさい。